私達の暮らしに不可欠な医薬品。皆さんはこの薬品のほとんどが野生の植物から作られているのをご存知ですか?　現在、世界中で5万種以上の植物が薬に使われており、そのほとんどが野生種なのです。中国由来の漢方も、ヨーロッパで主流のハーブもすべて野生の植物を利用したものです。こうした薬用植物は、私達の生活に深く結びついた”生物多様性”です。この豊かな薬用植物の生物多様性のおかげで、私達は健康は守られているのです。
また、こうした薬用・アロマティック植物は現地の人々の生計や健康を支えています。しかし、過剰な採集などにより今世界の多くの薬用植物が危機にさらされています。これは、世界の生物多様性の現象に直結しています。

こうした背景のもと、今回GTVがご紹介するのは、フェアトレードと持続可能な薬草の野生採集を意味する「FAIR WILD（フェアワイルド）」です。フェアワイルドのマークは、持続的に育てられた商品にのみ付けられています。これは、薬用・アロマティック植物の持続可能な利用を可能にするため仕組みとして策定された国際基準「ISSC-MAP」の認証制度です。これはWWF, Traffic, IUCNが薬用植物の過剰利用や違法採取／取引を阻止するための仕組みとして構築されました。

今回インタビューをしたハーブ療法士のエレノア・ガリアさんは、このフェアワイルド認証を推進するひとりです。現在、イギリス南部で野生のハーブを多く使ったクリニックを開業している彼女は、薬用植物の伝統的な利用や森林保護活動、さらに薬用植物の保護のためのガイドラインの改定などにも取り組んできました。

持続的な薬草の利用には、採取する人から薬品の製造者そして私達消費者まで、薬草に関わる全てのステークホルダーの理解と協力が不可欠です。ひとりひとりがその重要性と価値を理解し、薬草の持続的利用に心がけることで、世界の生物多様性保全にもつながっていくでしょう。
執筆：Green TV　大瀧

【関連URL】
●FAIRWILDホームページ（英語）
http://www.fairwild.org/

●Traffic East Asia-Japan
http://www.trafficj.org/