生物多様性と人間の共生を考える

seitaikei1.jpg今回ご紹介する番組は、GreenTV Japanが、財団法人日本生態系協会と共に制作した「生物多様性」に関する番組です。日本生態系協会は自然と共存する自然豊かな国やまちを目指して活動するシンクタンクです。国内外のさまざまな団体と協力しながら、健全な自然生態系を守り、国やまちを心豊かにくらせる永続性のあるものに再生する方法を、行政や議会、そして多くの人々に提案。具体的には調査・研究として野生動物の調査やビオトープの保全、環境教育/普及広報事業としてビオトープ管理士資格試験や国際フォーラム、セミナーなどをおこなっています。

seitaikei3.jpg番組では、地球温暖化で地球が直面している危機を紹介したうえで、この危機を乗り切る鍵が「生物多様性」だと訴えています。最初に紹介されるのは、温暖化に至るまでの流れです。地球上で工業文明が始まってから約200年。人々の物質的な面は豊かになったけれど、大量生産、大量消費により地球の資源が枯渇し、大切な生物多様性が失われてきました。その例としてあげられているのは里山です。開発により里山がなくなったことで、人々が山や川の恵みに寄り添っていた暮らしが失われ、川の護岸工事などで川魚や生物の多様性がなくなり(鯉ぐらいしか見られなくなった)、里山の雑多で豊かな生物多様性もなくなりました。その結果、多くの生物が絶滅の危機に瀕している、とのこと。

では、失われていく生物多様性は、私たちの生活と関わりがあるのでしょうか?番組ではキャベツを例にとって野菜の品種改良には多様な野草が必要なことや、新しい抗生物質の開発は土壌内の菌類(遺伝子)の多様性が支えていることを紹介しています。それなら私たちが目指すべき未来は?ということで、これに続いて紹介されるのが、欧米で実践されている自然と共生する街づくりです。

seitaikei.jpg「人間は豊かな生態系の一部に過ぎません。豊かな生物多様性の価値を見直すことは、この地球上で私たちが生きていく、本当の価値を見いだすことにほかならない」という最後の言葉は、強く心に残ります。生物多様性について非常によくまとめてある、とても説得力のある番組です。ぜひ見てみてください。
執【執筆】阿久津 美穂(Slow Media Works)http://www.slowmediaworks.net

関連webサイト
● 日本生態系協会
日本生態系協会の概要、活動内容などが詳しく載っています。
http://www.ecosys.or.jp/eco-japan/