育て守る。「重富の森」の生物多様性〜JT
- Resisted date2012.03.15 |
- Movie Time9:36 |
2011年は国連が定める「国際森林年」。これにちなんで日本、そして
世界各地では森林と親しむきっかけ作りをはじめ、森林によって育ま
れる生態系の重要性についても普及啓発の機会が増えていますが、今
回はその中でもJTが戦後間もない昭和23年から所有し、地域の方々
との協力によってその豊かさを育んでいる鹿児島南部に位置する「J
Tの森 重富」についてご紹介します。
この森ではかつて、原木から樟脳(しょうのう)を精製するため、ク
スノキの育成が行われていました。防虫剤としておなじみの樟脳です
が、香料、医薬品、溶剤、写真フィルムなどにも使われ、当時は日本
の主要輸出品でした。外貨獲得や近代化学工業の先駆けであるセルロ
イド工業の原料として、明治から昭和初期の経済発展の一翼を担いま
したが、合成品や石油化学工業の登場で衰退し、昭和37年の専売廃止
とともにその役目を終えました。
しかしこの森にはクスノキのほかにも、ボロボロノキをはじめとする
多様性のある環境でしか見られない樹種、希少な鳥類、昆虫などが存
在しており、その植物相や動物相の豊かさが調査によって明らかにな
ってきました。さらに、敷地内にある沢水は、それを源に広がる布引
(ぬのびき)の滝や思川(おもいがわ)を経て錦江湾(鹿児島湾)へ
と注がれており、豊かな森が実は川や海の豊かさと大きく関わってい
ることを身近に知ることがきる、非常に貴重な環境であることがわか
ります。
海の豊かさを守り、その活動を広げていく人、訪れる人のために森の
手入れをする人、そして定期的なモニタリング調査を行って森の変化
を見守る人。重富の森は、この地域を愛する多くの皆さんとのコミュ
ニケーションによって、これからも貴重な生物多様性の宝庫となって
いくことでしょう。
【関連リンク】
JTの森
http://www.jti.co.jp/csr/forest/
環境教育NPO法人 くすの木自然館
http://www.kusunokishizenkan.com/
鹿児島県森林組合連合会
http://www.kamoriren.or.jp/