2010FIFAワールドカップの挑戦

unep_world_cup001.jpg2010年6月11日から7月11日までの1ヶ月間、南アフリカでは、「2010 FIFAワールドカップ南アフリカ大会」が行われました。世界中のサッカーファンが、選手たちの華麗なプレーに酔いしれ、真摯な姿に感動し、国と国とのプライドをかけたゲームに熱狂したことは記憶に新しいでしょう。では、そんな華やかな舞台の裏で、南アフリカ政府や地方自治体、国際環境団体などが提携し、環境に優しい大会づくりに取り組んでいたことをご存知でしたか?

unep_world_cup002.jpg「Greening the World Cup」では、「2010 FIFAワールドカップ南アフリカ大会」に際し、南アフリカ環境局(Department of Environmental Affairs)らが実践した、グリーンな大会への取り組みを紹介しています。試合会場10ヶ所のほとんどがこの大会のために新設されたという事情もあり、南アフリカ大会での二酸化炭素排出量は前回の2006年ドイツ大会に比べて8倍以上。そこで、南アフリカ各地で植林活動を実施したほか、一部のスタジアムに省エネルギーや節水のための設計を施すなど、環境負荷の軽減につとめました。また、世界中から訪れる観光客に向け、環境に配慮した行動を啓発。自動車と公共交通機関で移動する「パーク・アンド・ライド」やスタジアムの近くで駐車し、現地まで歩くという「パーク・アンド・ウォーク」など、自動車だけに依存しない移動手段を確保したり、分別しやすいごみ箱を設置するなど、ひとりひとりが環境に優しいアクションを実行しやすい仕組みを整えたことも、特徴のひとつです。

unep_world_cup003.jpg世界中の人々が注目する国際的なイベントにおいて、環境に優しい取り組みを実践することは、より多くの人々に環境への意識を喚起し、地球温暖化防止へのアクションを訴える上でも必要なこと。2012年のロンドンオリンピックや次回の「2014 FIFAワールドカップブラジル大会」など、今後開催される国際的なスポーツ大会でも、「環境に優しい大会づくり」は大きなテーマのひとつになっています。「2010 FIFAワールドカップ」での取り組み事例は、環境に優しい国際イベントを実現するための教訓やヒントを与えてくれることでしょう。

執筆:松岡由希子

【関連サイト】
●「Greening2010」公式ウェブサイト(英語)
南アフリカが取り組む環境活動「Greening2010」に関する活動状況などが掲載されています。
http://www.greening2010.co.za/

●南アフリカ環境局(Department of Environmental Affairs)の公式ウェブサイト(英語)
南アフリカの政府機関「環境局(Department of Environmental Affairs)」の政策や各キャンペーン、イニシアチブに関する最新情報が発信されています。
http://www.environment.gov.za/