今回紹介するのはHOW CAN YOU SLEEPという歌のビデオです。このビデオはWWF（世界自然保護基金）から2008年にベスト・ビデオ・アワードに選ばれました。人間がやってきたことの重さについて考えさせられる内容です。

最初に出てくるのは「もし地球が１年前の１月1日にできたら」という仮定のもと、地球の歴史を振り返る文章。これによると、生命の誕生は2月26日、恐竜の出現が12月10日で、絶滅がその16日後、ホモサピエンスの出現は12月31日のとても遅い時間です。そして人間はその直後、1分もかからない短い時間で大地、海、空気の絶妙なバランスを崩してしまったことになるそうです。

この文章の後に、歌とともにたくさんの子どもたちの寝顔と、人間がしてきてしまった行為の数々が流れます。この歌を作ったディーン・オオモリさんは、世界の問題を訴えるために歌を作り続けているアーティストです。歌詞はとても詩的な内容なのですが、訴えたい内容は「こんな世の中で、どうしたら眠れるの？」ということ。このままでは世界は終わりに近づいてしまう。原爆が落とされ、人々は自分のことが一番大事で、海や山や木々を傷つけている。このままで人々は、世界は、地球はどこにいくのだろうか？地球は終わってしまうのか？こんな世の中でどうしたら眠れるというのか？と、訴えています。

地球の長い歴史の中で、あっという間に、それまで保たれてきた大切なバランスを崩してしまった人間。そしてそれが今も続いていることはまぎれもない事実です。ぜひこの歌を聴き、映像を見ながら現実を直視し、その上で、これからできること、すべきことを考えてみてください。

執筆：阿久津　美穂(Slow Media Works)
http://www.slowmediaworks.net

［関連サイト］
● The Art of Protest（英語）
HOW CAN YOU SLEEPのビデオ・アワード受賞についての紹介と、歌のビデオへのリンクが入っています。
http://www.deanomori.com/deanomori.com/THE_ART_OF_PROTEST.html

● WWF（世界自然保護基金）
HOW CAN YOU SLEEPのビデオ・アワードに関わっているWWFの日本の事務局のサイト。
http://www.wwf.or.jp/