小坂町「逆ビジョン」への挑戦
- Resisted date2008.08.01 |
- Movie Time4:48 |
秋田県小坂町(こさかまち)。この町で大きな「逆ビジョン」が発表されました。
小坂町は、1997年世界30カ国が参加し「世界鉱山サミット」が開催された地だそうです。その際に発表された「小坂宣言」は、3つの基本理念「資源リサイクルのための鉱業技術の向上」「循環型社会の構築」「新たな鉱業の発展と地域復興」と、この実現に向け産業界・指導機関・自治体が強く連帯感を持つ必要性を唱え、世界に発信したものでした。
それから10年。改めてこの宣言の意味と意義を再考し、世界に発信したいと発表されたものが『第2次小坂宣言』です。
<第二次小坂宣言>
1.「地球に優しい循環型社会」構築のための技術発展を推進します
(土に還るものは土に還し、土に還らないものは資源として再利用)
2.「生命力の強化」を求めてワークライフバランスの健全化を推進します
3.地域が輝くことにより、日本そして全世界が輝きます
ところで、逆ビジョンとは通常の”ビジョン”と何が違うのでしょうか?
映像でも経済産業省の前田氏が紹介しているが、こう紹介されています。
従来:将来を見据えて想像で抽象世界を描く
→逆ビジョン:現在、過去の現場を選んで具体的世界を書く
従来:繁栄している都市の目線で作る
→逆ビジョン:繁栄していない豊かな地域の目線で書く
従来:物質エネルギーを主体とする欧米型の近代文明をベースとする
→逆ビジョン:生命、自然などを主体とする我が国の伝統文明をベースとする
基調講演では、国際日本文化研究センター安田氏が「欧米では20年先を見越した社会設計をバックキャスティングといっているが、人類にとっては、実は30年前の環境を再現する社会設計でよい」と述べられ、コウノトリの野生復活を掲げて地域おこしに成功した兵庫県豊岡市の例を挙げられました。
また、横浜国立大学の宮脇氏は、森の大切さを述べられ、原初から植わっていた「潜在自然植生」を植えるのが森林再生に最も効果的であり、鎮守の森にその「潜在自然植生」が残っていると述べられました。
私たちが、持続可能な社会を確立させるには、昔ながらの”当たり前”の生活の価値を見直すべきかもしれません。日本は江戸時代、海外から多くの人が学びに来る程の「循環型社会」だったと聞きます。私たちは”今”あるもの、過去にあったものや知恵の価値を見直し、その全てを失ってしまう前に、「逆ビジョン」を具体的に描くことが今、必要とされています。
皆さんひとりひとりが、それぞれの地域に遺された価値あるものを見直し、守り、育てていって欲しいと思います。それが、未来の子供たちに遺す「日本」を構築する道かもしれません。
<関連webサイト>
ものづくり生命文明機構〜イベント
http://www.womb-to-womb.jp/event/index.html