里山の豊穣(石川県)
- Resisted date2016.01.10 |
- Movie Time6:33 |
今回紹介するのは国際連合大学(以下、国連大学)のメディアスタジオが作成したドキュメンタリー『豊穣の里山』です。このビデオは国連大学が配信するウェブマガジンOurWorld2.0に記事とともに掲載されています。OurWorld2.0では「ピークオイル」「気候変動」「食糧」という三つの複雑に絡み合う問題をテーマにしており、日英の記事とショートドキュメンタリーを通して多くの人に知識を得てもらい、そして行動してもらう事を目的に運営されています。
今回のビデオのテーマである「里山」は日本人にとってはなじみ深く、多くの人がどういう場所を指すのか何となくイメージできるかと思います。そのイメージと学術的な定義はそうかけ離れていないかと思います。
国連大学高等研究所IICRC研究によると、「里山は、食料、繊維、林産物、非木材林産物のほか、経済的、文化的、精神的、そして審美的なサービスなど、様々な利益を私たちに提供」するもの、と定義しています。
里山についてはビデオの中やOurWorld2.0の記事で紹介されていますので、ここでは今回の撮影を通してお会いできた、里山を守る三人の素敵な女性を紹介させていただこうと思います。
まず一人目はビデオの中心人物でもある、国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニットの、あん・まくどなるど所長です。様々な講演、執筆活躍でお忙しいのにも関わらず、フィールドワークが一番楽しいとおっしゃり、時間を見つけては能登に向かい、お茶を飲みながら地元の方々のお話に耳を傾けている様子はすっかり打ち解けていて、とても自然でした。日本中の農村漁村を渡り歩き直接お話を聞く事で日本に対する理解を深めていかれた、あくまでも「現場」の人です。
二人目はビデオの中であん所長とお話をしているおばあちゃん、岩田さんです。80歳を過ぎたご高齢にも関わらず、とても活発な方で、あん所長曰く「一人でもサバイバルしていける人」です。実際は地域の方々と色々協力して生活されていますが、食べる野菜は必要な量だけ自分で作り、キノコは山で取ってきて、魚や肉は時々村に売りにくる人から購入されているようです。食糧、燃料を全て自給自足できる里山のすばらしさを体現されている人です。
三人目の女性はビデオにはご出演いただかなかったのですが、高梨さんという東京農大を卒業後、農地景観の研究を続けるのを目的に輪島に移住された方です。縁あって地元の男性と千枚田という日本海に面した棚田で結婚式をあげられました。東京で生まれ育った方なのに地元のお年寄りのお話を本当によくお聞きになり、インターネットや本では得る事ができない情報を集積されています。
この三人の女性はそれぞれ年齢も仕事も国籍も異なりますが、里山のように多様で、奥が深くたくましい方々です。彼女たちのような素敵な方に守られて、これからも里山が生き続けることができればと思います。里山が、大切に守られ過ぎて人々が近づけない場所になるのではなく、人々が集まり、生活する場所であり続ければ、と願っています。
[関連サイト]
● Our Wordl2.0(日本語/英語)
国連大学メディアスタジオがお送りする環境に関するウエッブマガジンです。「ピークオイル」「気候変動」「食糧」という三つの複雑に絡み合った問題について記事とショートドキュメンタリーを通して問題提起し、前向きな解決方法を提案しています。
http://ourworld.unu.edu/jp/
● 国連大学高等研究所(UNU-IAS)(日本語/英語)
http://www.ias.unu.edu/default.aspx
● 国連大学Vimeo Channel
http://www.vimeo.com/unu
● 高梨さんの能登の生活を綴ったblog
http://miinosato.web.fc2.com/