20年先を見据えた経営~カーボンフットプリントを使う

defra_carbon_footprints01.jpg二酸化炭素などの温暖化ガスを排出しているのは、オフィスや一般家庭、工業生産活動が中心だと捉えがちですが、実は、酪農や畜産からも温暖化ガスは排出されています。たとえば、牧場のウシやヒツジが吐き出すメタンガス、土壌から排出される亜酸化窒素は、ともに、二酸化炭素よりも高い温室効果を持つといわれています。地球温暖化を食い止めるためには、これらの分野でも、温暖化ガスの排出量を削減することが必要です。この動画 「Focus on Carbon Footprint」では、このテーマに取り組んだ英国の例を紹介しています。

defra_carbon_footprints02.jpg英国の国土ビジネス連盟(Country Land & Business Association)の元会長で酪農家のHenry Aubrey Fletcherさんは、各農家が「どれだけの温暖化ガスを排出しているのか?」を正しく把握することこそ、酪農・畜産業界が温暖化ガス削減に取り組むための第一歩だと考えました。そこで、Savills社や東イングランド開発公社(East of England Development Agency)などと提携し、酪農・畜産に特化した温暖化ガス排出量算出ツール「Carbon Accounting for Land Managers(CALM)」を開発。CLA会員の農家や地主はこのツールをウェブサイト上で無料で使うことができ、温暖化ガスの排出量を客観的に把握することができます。また、Fletcherさんは、自身の牧場での温暖化ガス削減にも取り組みはじめています。草や木を植えて二酸化炭素の吸収キャパシティを増やしたり、雨水を貯めるタンクや湖をつくって水道水の使用を軽減するなど、この動画では具体的な対策を講じる様子を紹介。温暖化対策や気候変動対策には相応の投資が必要ですが、Fletcherさんは「15~20年といった長期的な視野で見れば、いま講じている施策や行動のひとつひとつが、将来、きっと大きな違いをもたらすだろう」と訴えています。

一般的にはあまり馴染みのない、畜産・酪農分野での温暖化防止の取り組みを知ることは、私たちの食のあり方を見直すヒントにもなります。ぜひこの動画をじっくりご覧ください。

執筆:松岡由希子

【関連サイト】
「Farming Futures」ウェブページ(英語)
環境負荷を軽減し、持続可能な農業を推進する「Farming Futures」の活動や調査結果データなどが紹介されています。
http://www.farmingfutures.org.uk