ゴミ処理場によって生まれた小さな循環

unep_near_zero04.jpg今回ご紹介する番組では、ケニアの首都ナイロビにある国連事務所の敷地内にあるNear Zero Stationというゴミ処理施設を案内しています。この施設の目的は、地域から集めたゴミをリサイクル用と廃棄処分用に分別し、リサイクルできるものは可能なかぎりリサイクルし、ただのゴミとして処分するものを「Near Zero(限りなくゼロに近い状態)」にすること。番組では施設の様子を見せながら、その試みをレポートしています。

unep_near_zero01.jpgこの施設で処理されているゴミの量は1日約30立方メートル。これは5トントラック1台分の量です。徹底的に分別されており、例えばプラスチックは7種類の再生可能プラスチックに分けられています。また、リサイクル業者にも、施設を運営する側にも利益が出るように工夫。例えば、紙くずを買い取りトイレットペーパーにする業者はトイレットペーパーを売ることにより利益を得ます。ただその際、Near Zero Stationと売買をする時は割引した値段で取引するように契約を結んでいます。これによりNear Zero Station側も得する仕組みになっている、というわけです。

unep_near_zero03.jpgこのように合理的でみんなが利益を得るような仕組みが、この施設によってできあがっているのですが、施設ができる前は、この地域のゴミ処理はひどいものでした。埋め立て地に埋められ、その跡地は今も有毒なガスが出るそうです。この付近に住む人々はこの影響を受け、特に子供たちへの影響は深刻。番組の最後に出てくる子供の「この煙が空気と結びついています。だからここでは純粋な空気が吸えません」というコメントには、深く考えさせられます。もう二度とこのような埋め立て跡地ができないように、今後ますます今回紹介したNear Zero Stationのようなゴミを有効活用する施設が重要になるはずです。日々の生活と切っても切れない関係にある、ゴミ問題。その解決の糸口を探るためにも、ぜひ見てみてください。

執筆:阿久津 美穂(Slow Media Works)
http://www.slowmediaworks.net

[関連サイト]
● UNEP(英語)
Near Zero Stationを手がけた国連環境計画のHPです。
http://www.unep.org

● Near Zero Station(英語)※PDFを直接ダウンロードするアドレスです。PDFの冊子の5ページ目に今回紹介したNear Zero Stationの紹介が載っています。
http://intranet.unep.org/PDF/TidbitsJune-July2008.pdf