食糧はどこから来るの?

soy_story_foe01.jpg日本でも、食の安全に対する意識の高まりから、原産地を考慮して商品を購入する消費者が増えてきました。では、その商品は、どこから来たどんな原料によって作られたものなのでしょう?この問いを掘り下げ、食と環境問題が密接につながっていることを改めて気づかせてくれる作品「Soy Story」をご紹介しましょう。

soy_story_foe03.jpg「Soy Story」は、「私たちの食糧はどこからやって来たの?」という娘ウシの素朴な疑問を解き明かすため、父ウシが南米を旅する物語。道中に出会ったラマや南米の鳥・オオハシ、農家の人から様々な情報を得て、父ウシはある真実にたどり着きます。自分たちの食糧は南米の農場で栽培されており、南米でのこのような過剰な農作物の栽培が、砂漠化を進め、アマゾンの消失につながっている…。つまり、英国の食肉産業や酪農産業が、遠く離れた南米アマゾンの砂漠化に影響を与えているというわけです。

soy_story_foe02.jpgこの作品は、映画監督・David PownallとCaroline Ecclesにより共同で製作されたもの。俳優のBernard WrigleyやミュージシャンのScroobius Pipも声優として参加しています。かわいらしいキャラクター使った人形劇で仕立てられ、食物連鎖の仕組みや食と環境の関係を子供たちにも理解できるように工夫されているため、環境教育のコンテンツとしても活用できる作品です。このユニークさが高く評価され、英環境保護団体「Friends of the Earth(FOE)」の2008年ショートフィルム大賞を受賞。また、同団体では、2009年10月16日「世界食糧デー」に関するキャンペーンにおいてこの作品を世界に配信し、環境問題を解決する上で、現在の食のあり方を見直すことの大切さを訴えています。

この作品のナレーションを担当したScroobius Pipは「この作品のナレーションを通じて、工場型の畜産・酪農が熱帯雨林を荒らしているということに気づかされた」と語っています。私たちの日常の食生活が地球温暖化や気候変動といった世界規模の環境問題につながっているという事実を改めて認識し、環境負荷に配慮した食生活に変えていくことが、持続可能な未来への第一歩につながることでしょう。この動画を観ながら、「今日食べた食事がどこから来ているのか?」少し想像してみてください。食に対する考え方がちょっと変わるかもしれません。
執筆:松岡由希子

[関連サイト]
•Fix the Food Chain(英語)
英環境保護団体「Friends of the Earth(FOE)」による食物連鎖の見直し啓発キャンペーンの公式ウェブサイトです。食と環境の関係について詳しく紹介されています。
http://www.foe.co.uk/campaigns/biodiversity/news/fix_food_chain_20576.html#4