日本の森を守る~北海道富良野

top_furano02.jpgGreen TVは、日本の森のあるべき姿を求めて、北海道富良野にある東京大学演習林に行ってきました。限られた日数の中で、映像では伝えきれないほどの素晴らしい体験をしてきました。貴重な野生動物が生息する森の中で数十年過ごして来た研究者の方たちに案内していただきながら、人の森への関わり方について伺ってきました。
今回は、その富良野で撮影した映像を3回のシリーズに分けてご紹介します。

furano.jpg第1弾の今回は、日本の森と林業の姿についてです。
日本は国土の67%を森林が占める、世界でも有数の森林大国です。しかし、供給されている木材の8割が外国から輸入されています。その背景には、日本の歩んできた歴史が大きく関わっています。昭和20年~30年代、戦後の復興等のために、木材需要が急増しました。そのため、日本政府は、拡大造林政策の実施を決め、広葉樹からなる天然林を伐採し、針葉樹中心の人工林に置き換える事業を急速に進めました。里山の雑木林や奥山の天然林から、成長が早く経済的価値の高い針葉樹を中心とした人工林に置き換えられました。この時期、家庭燃料が木炭や薪が中心の生活から、電気・ガス・石油に大幅に転換されていきました。さらに、昭和30年代、木材の自由化がスタートし、国産材の価格が高騰する一方で、比較的安価で大量供給が可能な外国産の木材(外材)の需要が一気に高まりました。こうした影響で、昭和30年代は9割以上であった日本の木材自給率が、急激に減少し、今では2割にまで落ち込んでいます。

furano03.jpg今回映像に登場する東大演習林は、一見原生林のように見える森を、人が関わり管理しながら林業的な生産能力を上げている森です。旧来の人工林と異なるのは、一種類だけの木ではなく、多様な木々や生き物を一緒に成長させながら、森が活力のある状態に保てるような森づくりを目指している点です。森は、木だけでなくそこに棲むたくさんの動物や昆虫、植物に支えられています。この東大演習林では、こうした自然のバランスを保ちながら、すべての生命力が最も成長し、種の多様性を維持していけるような森づくりに取り組んでいます。

東大北海道演習林を訪れて、この演習林だけでなく、まだ日本には素晴らしい森が他にも
あるのではないかと強く感じました。
この映像を見て、一人でも多くの方々に、森の大切さとそのあるべき姿を再認識して頂ければと思います。

【関連URL】
●東京大学北海道演習林ホームページ
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/hokuen/