生命の宝庫~コスタリカの雲霧林
- Resisted date2008.11.07 |
- Movie Time5:45 |
今回ご紹介するのは、国連環境計画(UNEP)が製作した雲霧林(Cloud Forest)に関する番組です。雲霧林とは、山の中にある熱帯雨林で、雲と霧が多くほぼ1年中湿気に覆われている森です。その環境は何千種もの希少な絶滅危惧種を育んでいます。また、雲霧林は雨が降った時の急斜面の土砂崩れなどの自然災害を防ぎ、豊富な雨を水源にもたらし、その水が川を流れ、流域を潤しています。
番組は、国連環境計画(UNEP)の世界自然保全モニタリングセンターが発表した報告書の内容を美しい森の映像とともに紹介しています。国際自然保護連合とユネスコの協力のもとで作成されたこの報告書は、雲霧林に関する初めての包括的な調査だそうです。そこで明らかになったのは、雲霧林は世界の熱帯林の2%ほどしかないけれど、多数の希少な動植物が住んでいる生物多様性の宝庫だということ。また、南アメリカ大陸のコスタリカやエクアドルなどの雲霧林が有名ですが、実はアジアに全体の60%があり、南北アメリカ大陸には25%あるのだということ。そして、多くの雲霧林が脅威にさらされていることです。
その具体的な脅威の内容は、世界中で貧しい農民が食べるために森を切り開いて畑を作ってしまうこと、アジア地域で商業目的の森林伐採がおこなわれること、南アメリカで麻薬の栽培のために森を切り開くこと、アフリカで野生動物の密猟などで森の生態系が崩されることなどが指摘されています。
では、解決策は?この報告書の目的は、調査結果から問題を指摘したうえで解決策を示すことなので、番組でもいくつか解決策が紹介されています。それは、森を国立公園などとして保護すること、木を切って畑を作るのではなく、森を守りながら農民に恩恵が与えられるような持続可能な農業を実践することや、森を活かした環境ビジネス(森の水の販売やエコツーリズム)を展開することなどです。雲霧林がどんな森なのか、どんな危機にさらされているのか、どんな解決策があるかが、しっかりと段階的に説明してあり、とても分かりやすい番組です。より詳しく知りたい方は、ぜひ関連サイトで紹介している報告書のPDFをダウンロードして読んでみてください。
【執筆】阿久津 美穂(Slow Media Works)http://www.slowmediaworks.net
<関連webサイト>
● UNEPの今回のレポートの内容の紹介。PDFで内容をダウンロードできます(英語)
http://www.unep.org/publications/search/pub_details_s.asp?ID=3640