地球の森を守るために~違法伐採とレーシー法

closing_down03.jpg家具や紙などに使われている木材。海外の資源に頼っている国は少なくありません。特に巨大な消費市場がある米国、ヨーロッパ、日本は多くの需要を創出しており、現在、木材や木を使った製品の世界貿易は1兆ドル産業となっているそうです。しかし取引されている木材の15%が不正、または不審な供給源から来ているとのこと。今回の番組では、この問題への画期的な対策として、世界で初めて違法伐採による木材商品の輸入、輸出販売を禁止した、米国のレーシー法の改正内容について紹介しています。
closing_down04.jpg番組の始めに紹介されるのは違法伐採の現状です。インドネシアでは国立公園や高地が有力な木材商に荒らされ、マレーシアやシンガポールでは犯罪組織が偽造書類などで木材を欧米に流しています。経済発展が著しい中国では自国の木材で足りず、ロシアの生物多様性の豊かな森からサッカー場3分の2を埋める量の丸太を毎日、輸入しています。それが家具に加工され、世界中に輸出されているそうです。南米でも熱帯雨林の木が伐採され、高級木材として取引されています。
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米国は世界最大の木材商品の消費国。何か対策をしなければならない、と2008年5月、レーシー法が改定されたのです。レーシー法は野生動物に関する犯罪対策として100年以上重要な役割を果たしてきた法律で、今回、この範囲を植物にも拡張することになりました。この改正のポイントは2つ。
1)米国は、違法木材を使った製品の輸入・販売・交易を禁じる国になる。
2)輸入業者はどんな植物を使ったのか、その種と原産国を宣言する義務が出てくる。
番組では専門家の解説とともに、改正のポイントをより詳しく紹介しているので、見てみてください。

米国で成立した画期的な法律改正に、ヨーロッパや日本が続いていくか、注目したいところです。大事なポイントは、番組の最後に出てくる「購入者がいなければ、密輸もない」という言葉。確かにそのとおり。私たちも知らず知らずのうちに、間接的に使っているかもしれない違法伐採の木材。まずは問題の詳細と、世界の動き、私たちにできることを知ることから始めていきましょう。
【執筆】阿久津 美穂(Slow Media Works)http://www.slowmediaworks.net

関連webサイト
● eia(英語)
今回の番組を制作した団体eiaの違法伐採のキャンペーンのページです。
http://www.eia-global.org/forests_for_the_world/index.html

● フェアウッドキャンペーン(日本語)
持続可能な森林経営と環境に配慮した木材の利用推進等の必要性を訴えているキャンペーン。今回の問題をより詳しく知り、解決方法を探りたい方は、ぜひ見てみてください。
http://www.fairwood.jp/