スマートグリッド〜賢いエネルギー消費社会へ向けて

持続可能な社会の実現に向け、グリーンエネルギーの推進は不可欠な課題のひとつ。この課題は、「どのようにエネルギーを作り出すか?」という面ばかりが議論されがちですが、同様に、「これらのエネルギーを、いかに効率的に届けるか?」という点も重要なポイントです。そこで、近年、従来の一方向型の送電網に代わるものとして、電力の需給バランスを自律的にコントロールできる、双方向型の「スマートグリッド」が注目されています。こちらの動画「Green Revolution – Smart Grid」は、このテーマに取り組む4名の研究者とのインタビューを交えながら、スマートグリッドにまつわる最新の研究について紹介しています。

従来、大規模発電所で発電したエネルギーを各ユーザに送る「集中型発電」が中心でしたが、小規模発電をより多くの場所で行う「分散型発電」への転換が検討されはじめています。これを可能するのが、スマートグリッドです。また、スマートグリッドは、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの効率的な利用にも役立ちます。風力、水力、太陽光、地熱といった、異なる電力源から発電したエネルギーをひとつのシステムでつなぐことができれば、天候や自然環境に影響されやすく、供給量が不安定なこれらのエネルギーでも、一定量の電力が確保できるよう制御できるからです。また、エネルギーが双方向に流れることによって、余剰電力の再分配など、エネルギーの効率的な活用につながります。さらに、スマートグリッドによって、エネルギーの消費状況を可視化することも可能です。各家庭では、「実際、いつ、どれくらいのエネルギーを消費しているのか?」を正しく把握することで、ピーク時を避けて電化製品を利用するなど、電力の使い方が工夫でき、電力コストの削減につなげることが期待されます。もちろん、このような「賢い」エネルギー消費によって、環境への負荷も軽減できます。

「スマートグリッド」は、エネルギーをより効率的に共有し、再生可能エネルギーの活用を推進するための大きな役割を担うもの。この分野の技術開発が進み、広く実用化されれば、私たちの持続可能な生活を強くサポートしてくれることでしょう。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]
アメリカ国立科学財団(NSF)の「Green Revolution(グリーン革命)」公式ウェブサイト(英語)
アメリカ国立科学財団がまとめた、グリーンエネルギーやスマートグリッドなどをテーマとする動画集です
http://www.nsf.gov/news/special_reports/greenrevolution/