CO2を地下に貯蔵する新技術

alstom_carbon_capture01.jpg「CCS」という技術をご存知ですか?二酸化炭素の回収・貯蔵(Carbon Capture and Storage)の略で、大気中に放出される二酸化炭素を人工的に分離・回収し、地中に封じ込めるという技術です。化石燃料を燃焼する際に発生する二酸化炭素を大気中に排出しないための有効な方策として、注目されています。

alstom_carbon_capture03.jpg動画「Carbon Capture and Storage」は、フランスの大手重電メーカー・アルストム(Alstom)でのCCS技術の取り組みを紹介しています。現在、アルストムでは、既存の火力発電所に実装できるCCS技術の開発に注力。発電所から排出される二酸化炭素を回収し、地中に埋める仕組みを研究しています。これを実現するための技術はいくつかありますが、アルストムが採用しようとしているのは、化石燃料の燃焼後に燃料ガスから二酸化炭素を回収する「ポストコンバッション方式」や燃料を酸素と燃焼させる「酸素燃焼」。触媒によって二酸化炭素を”吸着”させたのち、これとは逆の化学反応を起こすことによって二酸化炭素を触媒から切り離し、純度の高い二酸化炭素だけを地中の層や枯渇した油田やガス田などに埋めるという仕組みです。この技術を活用すれば、長期間にわたって安全に二酸化炭素を貯留させ、大気への二酸化炭素排出量を抑えることができます。アルストムでは、今後、さらに実証ユニットを拡大して技術開発を進め、2015年には実用化第一号を完成させる計画です。

alstom_carbon_capture02.jpg環境への負荷をかんがみると、風力や太陽光といった再生可能エネルギーへのシフトが理想ですが、世界の電力需要を十分まかなうためには、化石燃料にある程度依存し続けざるをえないのも事実。地球温暖化や気候変動を食い止めながら、化石燃料のエネルギーを利用するためには、「発生する二酸化炭素を、いかに大気中に放出しないようにするか?」というアプローチから、実効的な手段を講じることも必要でしょう。この「Carbon Capture and Storage」では、CCSの基本的な仕組みもわかりやすく解説されています。ぜひご覧ください。

執筆:松岡由希子

【関連サイト】
アルストン社のCCSへの取り組み(英語)
アルストン社(Alstom)のCCS(二酸化炭素貯留)への取り組みと各発電所での実績が掲載されています。
http://www.power.alstom.com/home/about_us/strategy/clean_power_today/carbon_capture_storage_ccs/46842.EN.php?languageId=EN&dir=/home/about_us/strategy/clean_power_today/carbon_capture_storage_ccs/