地元の水資源をエネルギーに

ashden10_creluz03.jpg世界の多くの農村部にとって、電力の安定的な供給は重要な課題のひとつ。照明や家電製品への利用など、一般家庭の生活においても必要なものですが、地域産業を発展させる上でも電力はな不可欠なリソースです。そこで、ブラジル南部リオグランデ・ド・スル州(Rio Grande do Sul)では、地域住民が協同組合を設立し、地元の水資源を発電に活用する仕組みを構築しています。

ashden10_creluz01.jpg「Safe, Clean and Reliable Electricity」では、リオグランデ・ド・スルの住民によって設立された協同組合 「CRELUZ」の取り組みを紹介しています。「CRELUZ」では、国の不安定で脆弱な送電網に過度に依存するのではなく、自律的な発電手段を確保すべく、地元に6ヶ所の水力発電所を建設。8万人の住民に向け、電力需要の27%以上をまかなっています。また、これらの発電所では、川の水をそのまま引き込んで発電する「流れ込み式」を採用。ダムや堰堤を建設する必要がなく、貯水池のための大きな敷地も不要で、従来の発電方法に比べて、環境負荷を大幅に軽減することができたそうです。水力発電によって、地域に広く電力が行き渡り、農業のほか、アメジスト採掘といった産業も盛んになりました。

「CRELUZ」の特徴は、地元住民であり電力消費者でもある組合員ひとりひとりが、組織運営に参加していること。発電施設の改善や地域での社会貢献活動、貧困対策、環境保全活動など、「CRELUZが何に取り組み、どれだけの費用を投じるのか?」について、組合員全体で意思決定することになっています。「CRELUZ」は、農村部で持続可能な電力を安定的に確保できたという点でだけでなく、住民による住民のためのコミュニティを実現しているという面でも、大きな成果を上げているといえるでしょう。実際、彼らの取り組みは、2010年、英国の「Ashden Award」でも表彰されています。「CRELUZ」の事例から、持続可能なエネルギーの確立と新しい地方自治のカタチを探ってみましょう。

執筆:松岡由希子

【関連サイト】
●「Ashden Awards」公式ウェブサイト(英語)
2010年の受賞プロジェクトをはじめ、これまでの受賞プロジェクトなどの情報が掲載されています。
http://www.nature-sugoi.net/

●「CRELUZ」公式ウェブサイト(ポルトガル語)
「CRELUZ」の活動状況がテキストや画像で紹介されています。
http://portal.creluz.com.br/
http://www.nature-sugoi.net/