小さな島の自給自足エネルギー

ashden10_eigg01.jpg世界に浮かぶ島々―。これらの地域では、ディーゼルなどの自家発電設備によって電力を得ている例も多くありますが、通常の電力よりも割高で、安定的な供給が難しいうえ、排気ガスによる大気汚染や騒音などの課題も指摘されています。ゆえに、このような離島地域では、エネルギー効率を向上させる取り組みや、風力や太陽光などの自然エネルギーを活用したエネルギーの自給自足化が求められています。そこで、これらの解決策を実践した事例として、スコットランドのEigg島をご紹介しましょう。

ashden10_eigg03.jpgEigg島では、長年、エネルギーの安定的な確保が大きな課題でした。そこで、2008年、水力・太陽光・風力の3つの再生可能エネルギーを統合した新しい電力供給システムを導入。島内の電力の90%以上が再生可能エネルギーでまかなえるようになりました。また、島内の各世帯では、5キロワットまでという電力の使用制限が設定され、電力使用量を測定するスマートメーターを設置。実際の電力使用量が可視化されることによって、住民たちは、「エネルギーの使用量を主体的にコントロールしよう」という意識を高め、住居の断熱化や省エネ仕様の家電製品の利用を進めるほか、エネルギー効率を実現するライフスタイルへの転換をはかるようになりました。その結果、Eigg島からの二酸化炭素排出量は47%も削減されたそうです。

ashden10_eigg02.jpgEigg島の事例は、電力の再生可能エネルギー化やスマートメーターの導入といった「ハード」と、住民の省エネ意識の向上、持続可能なライフスタイルへのシフトという「ソフト」の両面から、環境に優しいコミュニティづくりを実現している点が高く評価され、2010年、英国の「Ashden Award」で金賞を受賞しています。無人島を含め、6800もの島々でなる「島国」の日本でも、離島のための小規模電力システムの開発やエネルギーの自立化などが検討されていますが、インフラの整備のみならず、住民を巻き込んだEigg島の継続的な取り組みには、学ぶべきことがたくさんありそうです。

執筆:松岡由希子

【関連サイト】

「Ashden Awards」公式ウェブサイト(英語)
2010年の受賞プロジェクトをはじめ、これまでの受賞プロジェクトなどの情報が掲載されています。
http://www.ashdenawards.org/

「EIGG Island Going Green」公式ブログ(英語)
Eigg島でのグリーン活動について紹介しています。
http://islandsgoinggreen.org/