風力発電で電気自動車を~デンマークの新たな取り組み

newsmarket_ibm_windpower03.jpgデンマークは風力発電の先進国。すでに国内電力エネルギーの20%以上が風力でまかなわれ、世界の風力発電所の約半数でデンマーク製の風力タービンが導入されています。この国は、政府・産業界・学術界が協力し、再生可能エネルギーのさらなる推進に向けて、積極的に取り組み続けています。

newsmarket_ibm_windpower02.jpgこちらの動画「Wind Power And Electric Vehicles In Denmark」は、そんな取り組みのひとつ。世界有数のIT企業アイビーエム(IBM)、地元のエネルギー企業Ostkraft社、デンマーク工科大学などが共同で進めている、風力エネルギーの電気自動車への活用に関する実証実験の様子を紹介しています。電力エネルギーの50%が風力でまかなわれているデンマークのボーンホルム島では、15台の電気自動車を対象に、島の風力タービンで発電した余剰電力を活用する方策を研究しています。ここで特にポイントとなるのは、「送電網を通じて、電気自動車に必要なエネルギーと再生可能エネルギーの需給バランスをどう保つか」という点。エネルギー需要の増減に応じて、風力タービンでの発電量を自動的に調整するなど、消費と発電のバランスを図るための技術が採り入れられているそうです。また、電気自動車への充電には、IT技術が活用される見込みです。

newsmarket_ibm_windpower01.jpgデンマークでは、「2020年までに電気自動車20万台の導入」を目標としています。この実現のためには、必要な電力を必要なところに確実かつ無駄なく行き渡らせることが必須。幅広い地域での充電インフラの整備のみならず、エネルギーの需給バランスを制御するスマートグリッドの本格的な導入が今度の課題となりそうです。この実証実験は、今後、デンマーク国内において、再生可能エネルギーの電気自動車への活用のモデルケースとなることでしょう。
日本でも一部で電気自動車の導入が進められていますが、この取り組みと再生可能エネルギーの活用を連動させようという事例はまだ少数。このデンマークでの実証実験を含め、世界の優良な事例から学ぶことは、日本の温暖化ガス排出量削減に役立つと考えられます。みなさんも、環境に優しいモビリティ実験の最先端をこの動画でぜひご覧ください。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]
●「EDISON Project」の公式ウェブサイト(英語)
このプロジェクト「EDISON Project」の取り組みやその狙い、最新のニュースなどが掲載されています。
http://www.edison-net.dk/Default.aspx
●IBMによる風力エネルギーに関する記事(英語)
このプロジェクトのパートナーIBMがまとめた風力エネルギーに関する記事です。
http://www.ibm.com/smarterplanet/us/en/smart_grid/article/wind_power.html