現在、様々な分野で太陽光発電に関する技術が発展していますが、この番組で紹介するのは太陽光と風の力を使って動く船です。
開発したのはオーストラリアにあるソーラーセーラー社。船を開発したロバート・デーン氏は、開発のきっかけは「地球上で最も成功している生物である昆虫は、最初は地面をはうだけだったのだが、羽根で太陽光を集めて飛べるようになったと、本で読んだことだ」と言っています。この仕組みを船に応用し発明したのが、ソーラーパネルを敷き詰めたフェリーです。

このソーラーセーラー社のフェリーは、今まではオーストラリアのシドニー湾の観光ツアー向けのフェリーとして利用されてきたのですが、2009年の秋から、初めてオーストラリア外の国で使われることになりました。その舞台は香港。香港の島でカウサイチャウゴルフコースを運営している企業、香港ジョッキークラブが、ゴルフコースへの交通手段として、ソーラーセーラー社のフェリーを4隻購入したのです。このゴルフコースはすでに太陽光で動くカートも使っているエコなゴルフコースで、香港ジョッキークラブの担当者はフェリーの導入について「ただの新しい技術の活用例ではなく、商売繁盛につながる技術です」と話しています。

ソーラーセーラー社のロバート・デーン氏は今回の香港での取り組みをきっかけに、太陽光で動くフェリーを世界中で使える技術として認識してもらいたいと期待しています。また、グローバルな企業としてより安く高品質な部品を集め、取引先を開拓し、太陽光で動く船を世界に広めていきたいと、熱く語っています。

ビジネスにもメリットがあり、地球にも優しい新技術が地球を舞台に広がっていく。その気運が感じられる番組です。ぜひ見てみてください。

【執筆】阿久津　美穂(Slow Media Works)
http://www.slowmediaworks.net

［関連サイト］
● ソーラーセーラー社（英語）
ソーラーセーラー社のウェブサイト内の、今回の香港での取り組みに関する報告のページです。詳しく知りたい方は見てみてください。
http://www.solarsailor.com/media_091007_hong-kong-trader.htm
● 太陽と風力で動くクリーンなフェリーが登場（2000年7月 5日のWIRED VISIONの記事）（日本語）
ソーラーセーラー社のフェリーがシドニー湾に登場した当時のニュース記事です。
http://wiredvision.jp/archives/200007/2000070501.html