今回は、イギリスのイーストアングリア大学にあるノーフォーク・ノーウイッチ大学病院でおこなわれているCO2削減の試みを紹介する番組です。７分程度の番組ですが、対策の内容や今後の展望などがしっかり分かる、CO2対策や組織のコスト削減について勉強になる番組です。

この試みの特徴は2つあります。１つはノーフォーク・ノーウイッチ大学病院の医療面、医療以外の事務や掃除などの面、建物のエネルギー対策など、運営に関わるすべての団体、企業がかかわったこと。もう１つは、この対策にイーストアングリア大学で環境学を専攻する大学3年生、アリソン・モリスが関わったことです。

番組では、最初に病院の環境対策や、運営に関する背景を紹介した後に、アリソンがおこなってきた環境対策を取り上げています。対象の従業員総数は6000人という大きな組織であるこの病院でアリソンが最初におこなったのは、従業員の意識改革。昼食時にワークショップやイベントを実施し、少しずつ環境意識を持たせるようにしました。また、すでに病院内にあったIT、会計、看護担当などから成るCO2削減担当チームや他の人々と積極的に協力し合い、プロジェクトをスムーズに進めることができたそうです。他には、省エネ対策としてアトリウムで使う電球をLED電球に変え、センサーをつけることで、夜、一定の暗さにならないと電気がつかない仕組みにしたり、駐車場の電灯のシステムを変えたり、事務所内で省エネ機器を使うように勧めたり、といった対策をおこないました。これらのCO2削減対策はコスト削減にもつながっており、関係者に高く評価されています。

アリソンは、番組の最後のほうで「今では、新しいプロジェクトを始める前には担当者から『CO2削減対策としてどんなことができる？』というメールの相談がくるようになりました。みんながCO2削減という目的を共有しています」と語っています。このような従業員の意識の変化に加え、外部からの病院の印象も変わったそうです。関わる人々の意識の共有、できることを見つけ、着実にプロジェクトを進めること、コスト削減に貢献すること。CO2削減対策における、これら3つの要素の重要性を改めて感じさせるドキュメンタリー番組です。ぜひ見てみてください。

執筆：阿久津　美穂(Slow Media Works)
http://www.slowmediaworks.net

［関連サイト］
● カーボン・コネクションズ（英語）
組織として今回の取り組みを支えて企業、カーボン・コネクションズのサイト。
http://www.carbon-connections.org/

● ノーフォーク・ノーウイッチ大学病院（英語）
今回のCO2削減対策の実施対象となったノーフォーク・ノーウイッチ大学病院のサイト。
http://www.nnuh.nhs.uk/