ホッキョクグマに迫る危機
- Resisted date2010.02.05 |
- Movie Time1:10 |
日本からはるか遠く北極海に生息する、地球最大の陸生肉食動物ホッキョクグマ。氷原や氷山でアザラシなどを捕獲し食糧としています。しかし、近年、地球温暖化の傾向は北極圏でも顕著になっており、IPCC第4次報告書によると、20世紀の100年間で上昇した気温は地球全体の平均値の2倍を超えました。これに伴い、北極圏の氷が急速に溶けはじめ、晩夏から初秋の海氷の厚さは約40%も減少したそうです。ホッキョクグマにとって氷は餌を確保するための大切な場所。これが減ることは死活にかかわる問題です。実際、体重の減少、繁殖率の低下、個体数の減少など、ホッキョクグマの生存は脅かされており、絶滅のおそれのある野生生物を示す国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト」では、100年以内に絶滅してしまう可能性の高い「危急種」に指定されています。このような背景から、ホッキョクグマは地球温暖化に警笛を鳴らすシンボルとしてしばしば用いられているのです。
さて、この動画「Polar Bear」は気候変動の原因について話し合う2頭のホッキョクグマの様子を描きながら、人間の行動が気候変動に影響を与えていることをチクリと風刺しています。「氷に穴を空けて釣りをしているからか?」「いやいや、西に向いているのが原因じゃないか?」「キミの帽子のせいだろう」などど、あれこれ思い当たる原因を語り合うクマたち。1分ほどの短いアニメーションながら気候変動という課題について改めて考えさせられる作品です。2007年、英環境保護団体「Friends of the Earth(FOE)」が主催した第1回「One Minute Green Filmコンテスト」では優秀作品に選ばれ、動画サイトYoutubeでは100万回以上も視聴されるなど、話題になりました。
気候変動は地球の環境システムに害を与えるだけでなく、ホッキョクグマ、ひいては私たち人間の生存をも脅かす可能性を持つ深刻な課題。しかも「人間の行動、特に化石燃料の消費が地球の気候システムに影響を及ぼしている」というのが多くの研究者の見解だそうです。この動画の中で気候変動に悩むホッキョクグマからあなたはどんな”思い”を受け取りますか?ぜひ一度、こちらの動画を見て、彼らのメッセージを感じてみてください。
執筆:松岡由希子
[関連サイト]
●「Friends of the Earth(FOE)」の「One Minute Green Film Competition」(英語)
「Friends of the Earth」の2007年「One Minute Green Filmコンテスト」の優秀作品を観ることができます。
http://www.foe.co.uk/oneminute/2007_winners.html