野生動物の危機~気候変動が生態系を変える:10

このシリーズをお送りするのも大詰めを迎えました。
今回ご紹介するのは、ワピチとシロビタイジョウビタキです。

CLIMATE TRACKERS Part10.01.jpgまずはワピチが北アメリカの山間部の様子を教えてくれます。
地球温暖化のために冬の気温が上がり、氷河が減ってしまうことで川の水量が変わり、環境を破壊しているというのです。つまり、冬が暖かくなり、春の到来が早まり、秋が長くなると、雪や霜で覆われることが必要な植物たちにとっては致命的になるのです。それによって植物たちは徐々に北部へと自生地を変えていき、その植物に支えられている希少な動物たちは生きられなくなってしまうのです。

CLIMATE TRACKERS Part10.02.jpgつづいてシロビタイジョウビタキ。4月の第一週にイギリスへ、9月の初めには冬を越すため北アフリカに渡ります。ヨーロッパにおけるシロビタイジョウビタキの数は、地球温暖化とサハラ砂漠南部のサヘルの干ばつによって1960年から70年代にかけて激減しました。
この10年の少雨と気温の上昇で干ばつは一層進み、食糧を収穫できず、飢饉が繰り返されてきました。それに加えてアフリカのこの地域の砂漠化が進んだことで、固有種か渡り鳥かにかかわらず、すべての動物たちは絶滅の危機にさらされています。

CLIMATE TRACKERS Part10.03.jpgあまり耳馴染みのない動物たちの声をこれまでずいぶんお届けすることができたかと思いますが、どの声も、気温が上がりすぎているのに自分たちではどうすることもできないという悲痛な叫びでした。

文明をもって生きている人間が、どうにかしなければ地球は立ち行かなくなっていくのです。

執筆:小田原由花

【関連URL】
●WWFクライメイト トラッカーのHP。(英語)
http://www.climatetrackers.net/