野生動物の危機~気候変動が生態系を変える:9
- Resisted date2009.12.11 |
- Movie Time3:12 |
WWFベルギーの地球温暖化防止キャンペーン、おなじみになってきたでしょうか。
まずはタイマイ。 おもに熱帯海域に生息するウミガメで、その美しい甲羅がべっ甲の材料になることから長年乱獲されて生息数が減少し、絶滅危惧種に指定されています。タイマイが紹介してくれるのは、サンゴの危機。このシリーズでも何度か取り上げられてきましたが、今回また新情報が。それはサンゴの生息のためには周囲が22度~28度でなくてはならないということ。でも今は夏の気温が上がりすぎていて、すでに世界のサンゴの5分の1が消滅しています。しかも、共生藻が減少することでサンゴの白化現象が。このままでは、サンゴが再生能力をなくし、衰弱していく一方だと訴えます。
次いで登場するのはカッコウ。ヨーロッパの泥炭湿原が憂き目にあっていることを教えてくれます。湿原は、人間が奥地まで観光地として利用したり、有毒なものが流入したり、針葉樹人工林を作ってしまったりでどんどん減少し、今のヨーロッパではポツポツと島のように点在するような状態です。そんな中、カッコウは蝶の幼虫を餌にしているのですが、湿原が減ることで、この湿原で自生する植物のまわりで繁殖する蝶が減少。よってカッコウは餌にありつけなくなってしまっているのです。
最後はジェンツーペンギン。人生の70%を海に使ってすごします。休む時も氷の塊に乗って海を漂っています。陸に上がるのは主に子育て中だけです。注目すべきは南極圏の気温の上昇率。地球上のほかの地域の5倍も高くなっていて、海水が溶けだし、食物連鎖に異常をきたしています。ペンギンのヒナたちの餌は小さなエビやオキアミ。それらは氷の下の藻を食べているので、そこにペンギンは取りに行けばいいのですが、氷が解けるということは、より遠くの氷まで餌をとりに行かねばなりません。すると親鳥は疲れ、子どもたちはおなかをすかせ・・・こうして、ペンギンの集団が減ってしまっているのです。
環境税を導入するかどうか、議論が交わされている日本ですが、もし導入するのなら、どうか地球規模で有効に使えるよう計らってほしいと切に願います。
執筆:小田原由花
【関連URL】
●WWFクライメイト トラッカーのHP。(英語)
http://www.climatetrackers.net/