野生動物の危機~気候変動が生態系を変える:7
- Resisted date2009.11.06 |
- Movie Time3:12 |
このシリーズもずいぶん進んできました。今回は、ミヤコドリ、オサガメ、モルモットが地球温暖化で自分たちが困っていることを教えてくれます。
ミヤコドリはイガイなどの貝類を食料としていますが、温暖化で海の酸性化が進んだことで、餌の貝類が減ってしまうので困っています。現在、人間は月に2500万トンのCO2を排出し、海は空気中のCO2のおよそ半分を吸収すると言われています。すると、海は酸性化し、海の中の生態系はいびつになる。サンゴの残骸などからカルシウムを生成しますが、海が大量のCO2を吸収するのに比例してカルシウムの備蓄量が減少。カルシウムは貝の生成に欠かせないことから貝が減ってしまうという構図です。
続いてオサガメ。以前、このシリーズでアメリカワニのVTRをご覧下さった方はすでにご存じでしょうが、爬虫類の雌雄は抱卵期の周囲の温度で決まります。オサガメの場合は砂の温度が29.5度だと雌雄が半々、29度以下で雄の割合が高くなり、30度以上だと雌が生まれなくなります。気候変動で雌雄のバランスが悪くなるだけではありません。せっかく産んだ卵は人が食べてしまったり観光客に踏み荒らされたりします。さらに、海に浮かぶビニール袋をクラゲと間違えて飲み込んで窒息するカメや、漁業の網にかかって死ぬものも。
最後はモルモット。アルプス山脈に棲息していますが、温暖化の影響で山の高地にまで森になってしまい、巣を作るのに最適な草原地帯が狭くなってきています。アルプスの植物相に変化があり、いずれは草原地帯がなくなってしまうかもしれない危機にあるのです。
まだまだ知らないことがたくさんあります。少しずつ、省エネを心がけていくことで私たちの暮らしからは遠く離れた場所で起きている自然破壊現象をくいとめなくてはなりません。
執筆:小田原由花
【参考サイト】
●クライメイト・トラッカーのHP。さらに情報を得たい方はご覧ください。(英語)
http://www.climatetrackers.net/