野生動物の危機~気候変動が生態系を変える:6

今回登場するのは、北極ギツネ、ホッキョクグマ、モリムシクイの3種。いずれも地球温暖化による影響を訴えます。

CLIMATE TRACKERS Part6.01.jpgまずは北極ギツネ。北極域に生息し、食料の90%がレミングというネズミ。北極ギツネの一家族が1年で食べるレミングの数は4000匹と言われていて、少なくなると場所を移動します
ところが、アカギツネも同じ食べ物が好物。近年の温暖化で生息地を北寄りにしてきたせいで、北極ギツネと同じ食べ物を取り合いになっていますが、アカギツネのほうが強いうえ、北極ギツネのこどもを攻撃するので、北極ギツネのほうが危機に瀕しています。

CLIMATE TRACKERS Part6.02.jpg続いてホッキョクグマ。現在北極域に25000頭が生息していると言われています。その北極海の氷河が溶けだしているという事実はあちこちで報道されたりするようになりました。それに伴い、気温が1970年代より2,3度上昇していることで氷は小さくなり、冬が短くなったことで餌を捕まえる期間が短くなり、ホッキョクグマは餌のオットセイを捕まえづらくなり、冬を越せるほど蓄えておけなくなります。また、メスは子どもを母乳で育てるのに春までの8ヶ月間を費やしますが、その期間が十分でないと、栄養が子どもにいきわたらなくなり、死んでしまう確率が上がるのです。

CLIMATE TRACKERS Part6.03.jpg最後はモリムシクイという鳥。私にとってはなじみの薄い鳥ですが、皆さんはご存知でしたか?
ツンドラ地帯のブナ林に巣を作るのですが、温暖化で今の緯度にブナ林が育ちにくくなっているので、鳥たちの住処がなくなりつつあるのです。ブナ林は、寒くて水が豊かなところでしか育ちません。気温が高くなるということは、今よりも北方の場所のほうが育ちやすくなるということ。つまり、今いる場所には育たないということです。このままでは、21世紀の終わりまでに、この美しいブナ林の風景がヨーロッパから失われてしまうと、モリムシクイは警告しています。

“ACT NOW”では、「デスクトップPCよりラップトップのほうが消費電力が少ない」ということが新しく登場。まだまだ知らない省エネ方法があるものだと思いました。

次回もお楽しみに。
執筆:小田原由花

【参考サイト】
●クライメイト・トラッカーのHP。さらに情報を得たい方はご覧ください。(英語)
http://www.climatetrackers.net/