炭素地中隔離技術(CCS)の現状
- Resisted date2009.03.27 |
- Movie Time3:53 |
今回ご紹介するビデオはイギリスにおける炭素地中隔離技術(CCS)の現状を、関係者のインタビュー形式で説明するものです。
CCSとは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの1つ、二酸化炭素の大気中の濃度を下げる技術のこと。このCCSを使った装置は二酸化炭素を地中に貯留します。地下の地質には二酸化炭素を貯留する能力が、海洋には二酸化炭素を溶解する能力がそれぞれあるので、それを活用して隔離するのです。
最初に、英国環境庁長官が「イギリスでのCCS開発は研究段階であり、大型火力発電所で有効かどうかを試してから更なる技術開発をし、そのうえで世界に売り出したい」という考えを示します。
次に企業側からCCSの必要性が訴えられます。石炭をエネルギー源にしたくても、現在のような気候変動を危ぶむ状況下で石炭を燃焼させると大気中の二酸化炭素濃度が上昇するので、CCSのようなCO2回収装置が必要だというのです。
下院議員はCO2排出量の多い他の国と協力して技術開発することで、石炭火力発電所が利用可能になると説明。欧州委員会の委員は、CO2を40%まで削減できる技術なので、排出量の多い国々で特に、今後重視されるだろうと話します。また前駐欧アメリカ大使は、エネルギー安全保障上でも重要で、石炭が無公害で利用できるならぜひ利用したいと言い、エネルギー気候変動省の担当からは「中国が大量のCO2を排出しているので、CCSを販売していきたい」という意見が出されます。
最後に再び英国環境庁長官が登場、CCSを世界に先駆けて実用化、商業化に踏み切れば、景気活性化になる上、世界を一歩リードできるという考えを示します。
この技術は日本でも研究がされており、(財)地球環境産業技術研究機構(RITE)の報告書によれば、新潟県長岡市で平成15年にCO2圧入実証実験がされており「現状でも安全性は確保できている」そうですが、CO2が漏れだす「漏えいリスク」についても言及されています。しかし2005年のロンドン条約科学会合では、「大気中のCO2濃度が上がると海洋表層の酸性化を招く。CCSの導入でこの環境影響を回避できるというメリットに比較すると、海域地中貯留によって将来、海洋にCO2が漏れ出すリスクのほうが小さいし、管理可能なものである」と結論付けられています。
CCSは、すでに商業ベースでの活用も始まっています。皆さんもご覧になって、考えを深めていただけたらと思います。
小田原由花
第15回地球環境産業技術動向調査報告会の中の、(財)地球環境産業技術研究機構の報告ページ
日本におけるプロジェクトの進行状況や世界の反応など、詳細な報告があります。
http://www.rite.or.jp/Japanese/kicho/chosa/houkokukai/15kai/15kekka/osk3_choryu.pdf
株式会社NTTデータ経営研究所の経営権レポート
http://www.keieiken.co.jp/monthly/2006/0612-6/index.html
EICネットの「炭素地中隔離技術」の説明ページ。
他にも、環境に関する用語を調べるのに便利です
http://www.eic.or.jp/ecoterm/act=view&serial=3746