Time to Lead ~EU温暖化対策を見直そう~

time_to_lead03.jpg欧米のNGO、NPOはキャンペーン活動が上手ですが、その一例が今回紹介する “Time to Lead”のキャンペーンです。これはClimate Action Network (CAN) Europe、FoE(Friends of the Earth)、グリーンピース、WWFなど世界的に活動している国際NGOのヨーロッパ支部が一緒に仕掛けたキャンペーン。地球温暖化対策において世界をリードしてきたEUが「リードしきれていない」という批判を受けて2008年9月から始められました。

今回紹介する番組は、そのキャンペーンの一環で作られた映像。1分以内の短い映像ですが「アクションを起こそう」と訴える力は強いです。主張は明確。「政治家が12月に2020年までの地球温暖化対策を話し合うけれど、その時に気温上昇を2度以下にするような対策に決定するように、EU各国の市民が一丸となって政治家に訴えよう!」というもの。映像では、コミカルなアニメで各国の首相や、先進的な温暖化対策の妨げになっている産業界の存在が表現されています。

time_to_lead01.jpgなお、このキャンペーンの「気温上昇を2度以内にする」という主張は、次のような背景によるものです。”Time to Lead”のHP http://www.timetolead.eu/によると「温室効果ガスによる気温上昇は現在でも産業革命以前に比べて0.8℃上昇しています。今後2℃の上昇でも厳しい災害などの被害(10億人が水不足で苦しみ、種の1/5が絶滅の危機にさらされるなど)が出るのですが、それ以上に気温が上昇すると大惨事が起こると予想されます」とのこと。そのために2℃以下にする政策を進める必要があるのです。

このキャンペーンでは、欧州議会に隣接するリュクサンブール宮殿に電話を設置し、市民が思いを伝える電話メッセージを議員に流し、その思いに答えるように議員らに求めるといったパフォーマンスもおこない、議員の何人かがその呼びかけに応えたそうです(Mottainai Labのワクワクニュース http://mottainai-lab.jp/wakuwaku/2009/01/000542.phpより)。その影響もあってか、EUは2013年の京都議定書の温室効果ガス削減対象期間である2008年〜2012年以降の削減の枠組みにおいて、2020年までに20%削減という高い目標をかかげ、国際社会をリードしています。

time_to_lead02.jpg日本でも、このようなキャンペーンを見習い、まずは政府にもっと市民の声を届けていくことが必要だ、とあらためて考えさせられます。ぜひ見てみてください。
【執筆】阿久津 美穂(Slow Media Works)
http://www.slowmediaworks.net

[関連サイト]
● “Time to Lead”のHP(英語)
今回のキャンペーンのページ。主張の背景、理由、現状などが詳しく紹介されています。
http://www.timetolead.eu/

● 欧州議会をも動かした?NGOの温暖化抑止キャンペーン(日本語)
ワクワクニュースとして、このキャンペーンが紹介されています。
http://mottainai-lab.jp/wakuwaku/2009/01/000542.php