モルディブ共和国の危機

greenpeace_maldives_climate02.jpgモルディブ共和国と聞いて、その青い海と広がるサンゴ礁を思い浮かべない人はまずいないでしょう。
でも、観光立国となったモルディブが、海面上昇の影響で海に沈みそうになっているという現実を真剣に考えたことはあるでしょうか。
今回は、グリーンピースが制作したモルディブの現状を撮影したビデオをご紹介します。
赤道上のスリランカ南西に位置し、国土が佐渡島のおよそ3分の1しかないモルディブ。202の島に住民がいて、うち87島はリゾート島。一島に1つある観光ホテルと漁業を主な収入源にしている島国です。

greenpeace_maldives_climate03.jpg番組では、観光用パンフレットに記載されている内容とは違う、現実の厳しい状況を取材。自分のゲストハウスが間もなく海水につかってしまうという男性が紹介されます。
空撮によって現状を目の前に突き付けられて、衝撃を受けます。モルディブでは、海面から2mの高さが最高地だというのです。これでは、1メートル海面が上昇しただけでも国土の大半が失われます。
環境省のアリ氏は、このまま海面が上昇し続けると観光客が減り、モルディブの経済的な発展は見込めないと懸念しています。
また、1998年のエルニーニョ現象で海水温が急上昇したことにより、多数のサンゴが死滅。その被害の状況も無残です。
2004年のインド洋大津波では、壊滅状態になり、海と共存しつつ被害対策も練らなければならない同国は、同じく海の被害に頭を悩ませ続けている日本からの援助を受け、首都マレの周囲に高さ3mの防波壁を巡らす工事をしています。
過密人口にも頭を痛めているマレは、万が一に備えてフルマーレという人工島を建設していて、2020年までに15万人が移住できる予定です。
全島を保護できるほどの財力はないが、他国が温暖化防止に向けて立ち上がるのを待つほど時間のゆとりもない状況。1997年の京都議定書に真っ先に名を連ね、現在も続く交渉に深い関心を持つのは当然のことです。
国を守るためとはいえ、人工島を建設するのは環境破壊につながらないのかという疑問もありますが、そこまでせっぱつまっている状況に追い込んだのは私たち人間のエゴに他ならないのです。
greenpeace_maldives_climate01.jpg美しいモルディブが海底都市になってしまわないよう訴えかけてきます。同じ島国に住む日本人としては、このことをモルディブだけの問題だと捉えるべきではないと思います。どうぞ、ご覧ください。
【執筆】小田原 由花

<参考サイト>
● 外務省のモルディブに関するH.P
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/maldives/data.html

● モルディブ政府観光局
モルディブに関する基礎知識が掲載されてます。
http://www.visitmaldives.com/jp/Maldives/geography.php

● 海外コンサルティング企業協会
マレ島の護岸プロジェクトの詳細がわかります。
http://www.ecfa.or.jp/japanese/sumatra/maleisland.html