チャラにはできない!?嘘とCO2

cheat_neutral02.jpg恋人や配偶者など、大切な人に嘘をついた時に、お金を払えばそれがなかったことになるとしたら?そして支払われたお金が、誰かがずっと誠実でいるために投資されるとしたら、どうしますか?

これが、今回紹介する番組のテーマです。制作したのはイギリスで「Cheat Neutral(嘘をチャラにする)」というキャンペーンをおこなっている人々で、キャンペーン内容は「嘘をチャラにするために2.50ポンド払ってもらおう」というもの。もちろん、このキャンペーンは大きなイタズラ。カーボンオフセットについてパブで語り合っている時に「もしこの仕組みを人々の生活、人間関係に当てはめたらどうなる?」と思いつき、それを発展させたそうです。

cheat_neutral04.jpg番組では、最初の質問に対するいろんな反応が紹介されます。「お金では解決にならない」「全く違うところで問題を解決しても、それは本当の解決にならない」「面白いアイデア。でも嘘をつくことを推奨することにならないだろうか?」などいろいろ。まとめると「面白いけれど、実際やりたいとは思わない。いい方法だとは思えない」というものです。確かに、このルールがまかりとおったら、どんなに嘘をついても大丈夫になってしまいそうですよね。

でも、ここで立ち止まって、もう一度カーボンオフセットのことを考えてみると、実は同じようなことだと気づかされます。カーボンオフセットは、出してしまったCO2分のお金を払うことによって、CO2を出さなかったことにする仕組み。そして、そのお金が開発途上国のCO2削減のための植林などのプロジェクトに使われます。一見、良い仕組みのように感じますが、これをCheat Neutral のように人間の行動に当てはめると「とんでもない!」ということになるのです。

cheat_neutral03.jpg番組の最後では、このキャンペーンに対する各メディアの反応が紹介されています。「嘘をチャラにするのはおかしな話だけど、カーボンオフセットも同じくらいバカげた話である。あらゆる経済活動は未来の子どもたちに影響を及ぼす。だから嘘ではなく、本気で地球を守る取り組みをしよう」という新聞記事の意見には、考えさせられます。急激に世界に広まっている「カーボンオフセット」の考え方を別の視点からみて、今後の地球のためにより良い方法を考えるのにぴったりの番組です。もちろん、番組を通じてイギリス人らしいユーモアを楽しむのもお忘れなく!

執筆:阿久津 美穂(Slow Media Works)
http://www.slowmediaworks.net

[関連サイト]
● Cheat Neutral(英語)
http://www.cheatneutral.com/
Cheat Neutralのキャンペーンの概要、目的などが詳しく載っています。詳しく知りたい人はぜひチェックしてみてください。