Lost/10秒の世界~失われ行く森

10s02.jpg今回の映像は、とてもシンプルで短いけれど、観た後に強く心に残ります。訴えたいテーマは10秒ごとにサッカー場1つ分の熱帯雨林が失われているという事実です。それが、子供たちがかくれんぼで10数えている場面で印象的に表現されています。
10s01.jpg制作しているのは熱帯雨林の保護を訴えるRain Flourish(熱帯雨林の繁栄)。Rain Flourishは、アートやポップカルチャー、メディアを通して「熱帯雨林は地球全体にとって本当に大切だ」ということを訴えようとしているアーティストたちの集まりです。HPには、彼らの基本的な考えが載っています。1つ目は「熱帯雨林の消失の原因は貧困、人権、経済、貿易、政策、環境問題など様々な問題に関わるので、総合的にとらえること」。2つ目は「人々にこの問題を気づかせるためにクリエイティブの力を信じ、クリエイティブを通して訴えていくこと」。そして3つ目は「熱帯雨林が失われることは環境と生態系を傷つけるだけでなく、人々の心に根付く自然への想い、本質的な価値観にも影響することを認識すること」。この映像は、そんなアプローチを展開している彼らの作品の1つ。映像で観ると、伝わる深みが違います。HPには他にも映像がアップされているので、ぜひ観てみてください。

10s03.jpg熱帯雨林の消失の問題はとても深刻で、野生動物が行き場をなくして絶滅の危機にさらされ、植物も、数が減るだけでなく多様性も失われています。地域によって異なりますが、熱帯雨林の伐採問題の背後には、木材や紙生産のための商業伐採、鉱業開発、農地や牧草地への転換などの問題があります。しかし問題はそれだけでなく、Rain Flourishの1つ目の考えにあるように、貿易(安い木材を輸入したいという先進国のニーズがある)、貧困(貧しいので木を伐採して日銭を稼ぐしかない)などの複雑な問題がからんでいるので、それらを1つ1つみていかなければなりません。

熱帯雨林を失った後の代償は温暖化の進行、森や生物多様性の喪失など、何年かかっても取り戻せない物事ばかりです。私たちが日々使っている紙や家具とも関わりのある熱帯雨林の問題。この映像を観て、できることについて想いを馳せ、一歩を踏み出してください。

【執筆】阿久津 美穂(Slow Media Works)http://www.slowmediaworks.net

関連webサイト
● Rain Flourish
団体の概要、アーティストによる作品、映像などが見られます。
www.rainflourish.org

● Rain Flourishの他の映像作品
こちらのサイトから観られます。
http://www.rainflourish.org/RainFlourish/movies.html

● 国連環境計画
www.unep.org