「地球温暖化が進んでいて、このままだと危ない」という話をよく耳にするようになりましたが、実際にどのくらい深刻な問題なのかは、なかなか実感できません。それを実感させる映像と、希望が持てるインタビュー内容を紹介しているのが今回の番組です。

番組は温暖化予測のコンピュータシミュレーションと、それを主導となって制作した国立環境研究所地球環境センター温暖化リスク評価研究室室長の江守正多さんへのインタビューで構成されています。江守さんは、コンピュータシミュレーションによる地球温暖化の予測を専門としている研究者です。

温暖化予測とは、温暖化によって100年後の世界でどのようなことが起こるのかの予測です。人口、経済、技術といった諸要素の変化を考慮しながらCO2などの排出量を推定し、次いでCO2などの物質がどれくらいの割合で大気中に残るかを計算。結果的に気温上昇が何度になるか、世界がどのように変化するかを予測しています。

今回江守さんたちのグループが発表した温暖化予測は、世界最大規模のスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を使っています。世界では30程度のグループが同じような計算をしていますが、研究者がどれだけ地球を理解し、計算式を作っていくかによって、現実に起こりうることに近い予測ができるかどうかが変わってくるそうです。江守さんたちのグループは、世界の社会経済がどのように発展してくか綿密なリサーチを重ねたうえで、640台の大型コンピュータが高速のネットワークでつながれたシステムを利用し、計算しています。これにより「世界の中で非常に意味のある、重要な予測の１つになった」（江守さん）とのことです。IPCCの第4次評価報告書でも高く評価されました。

番組で地球温暖化予測の映像を見ると、気温が上昇し、地球がみるみる赤くなっていくことが目に見えて分かります。ここで気になるのは「では、どうすればいいのか？」ということ。江守さんはこの質問に「僕は対策の研究の専門家ではないですが、僕の理解に基づいてこう言うようにしています。温暖化は止められると思います」と答えています。そのために必要なのは「心・技・体」とのこと。詳しい内容は、ぜひ番組を見てください。温暖化予測に驚くとともに、まだできることはある！と希望を持てるはずです。

【執筆】阿久津　美穂(Slow Media Works)http://www.slowmediaworks.net

＜関連webサイト＞
● チーム・マイナス６％・地球温暖化シミュレーション解説映像
地球温暖化予測動画に国立環境研究所の江守さんが解説を加えた映像です。環境省チーム・マイナス６％のホームページより公開されています。より詳しく地球温暖化予測動画の意味を知りたい方におすすめです。
http://team-6.jp/cc-sim/

● 国立環境科学研究所・江守さんへのインタビュー記事
今回ご紹介した地球シミュレータや温暖化について、江守さんが詳しく語っているインタビュー記事です。今回の内容をより深く知りたい方におすすめです。
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/19/02-03.html

● 国立環境研究所
今回の共同研究を担当した国立環境研究所のサイトです。
http://www.nies.go.jp/index-j.html

● 地球シミュレータ ?「赤い地球」
green TVで以前制作した、関連番組です。
http://www.japangreen.tv/journal/#/000051　

● 触れる地球
地球シミュレータの予測結果の映像を実際の地球の模型に反映させたもの。触れて、地球の変化を実感できます。
http://www.tangible-earth.com/